
私は乳腺外来の看護師をしています。
乳がんの治療で抗がん剤を受ける患者様へ治療の流れを説明したり、不安を聞いたりしています。
今回この内容を書こうと思ったのは、乳がんの患者様がどんなに不安か、また、聞きたくてもその場で聞きづらいようなこともあるのではないか、または聞き忘れた、などあるのではないか?と思って書こうと思いました。
なかなか忙しそうな看護師をつかまえて聞けない。。。そんな風に思わせてはいけないんですけど・・・。
私のいる病院では抗がん剤は、基本外来で行います。
毎週、曜日を決めて行っています。
抗がん剤の点滴の日も私も点滴の担当になるときもあります。
抗がん剤治療で、入院する病院では常に患者様は看護師を呼べるし聞きたいことは聞けるかもしれませんが、外来で行うと家に帰ってからは未知の世界、未知の体験になるわけですから不安はありますよね。
今回はまず、抗がん剤の治療前にやるべきこと、済ましておくこと説明します。
※私は乳がんの治療と患者様の事だけ関わっています。他のがんの治療は当てはまらない内容もある事を承知して読んでください。
抗がん剤治療の前にやるべきこと
①タンパク質中心に食べる
②ウィックの購入(コットンの帽子も)
③サポート体制
④気持ちの切り替え
ひとつづつ説明していきます。
①タンパク質中心に食べる
これは数年前から私のいる病院で強化している内容です。
まず、食べないとダメです。
乳がんの方は抗がん剤が先か、手術が先か人によって様々です。
でも、たいがいよっぽど進行しているがんでない限り食べることは問題ないと思います。
初めての抗がん剤治療の方は、もし、食べられないとしたら、精神的な気持ちの問題が大きいのだと思います。
まだ、病気を受け入れられない。
だって、症状が無いのに、本当にがんなの?
なんで、私がだけがん?なの?
抗がん剤何て必要なのか?
でも、あなたが乳がんの治療をすると決めたのなら、この治療で、抗がん剤をすると決めたのなら、食べないと始まりません。
なぜか?
抗がん剤は体力をとても使います。
今はとても優秀な、副作用止めがあるのであまり吐きません。
でも、白血球減少(好中球)は誰にも起こります。
その時に必要なのは、血です。
血液が必要になります。
その血液は骨髄で作られます。
骨はタンパク質で作られています。
わかりますよね?だからタンパク質がとにか沢山必要です。
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エピソード1
FEC治療の時。まだノイトロジンという注射を、白血球減少(好中球)のときに使っていました。
これは白血球減少(好中球)が始まって上がって来るまで毎日注射に来ないといけませんでした。
毎日、注射に来ているのに一向に上がらない。しかも好中球減少が1,000を切って400まで下がってしまい発熱もあります。感染もしている可能性がありました。即、入院で、面会謝絶です。
この患者様の旦那様に話を聞くと、野菜が主の食事だったそうです。ベジタリアンだったのです。
抗がん剤を始める前からその情報は私たち看護師も知っていましたが、治療中は我慢して「お肉や魚も食べてください」と話していました。
少し頑張って食べたようなんですが普段食べていないので、体も急には追い付かなかったのかもしれません。
その後、2クールからタンパク質中心の食事を実践してまらってからは白血球が下がりすぎることはなくなりました。
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白血球減少(好中球)下がったら注射で上げればいい!ではないと思うんです。
注射だって無理やり骨髄から血液を造らせようとするわけですから負担はまたかかります。
ノイトロジンなどの白血球を上昇させる注射も副作用はありますから。
何人も患者様をみていますが、無理しても、口が不味くても、薬だと思って食べている人は抗がん剤も食べれない人に比べ元気に乗り越えられます。
余談、今はFEC治療にはジーラスタ注射という抗がん剤点滴後72時間までに1回注射すれば必ず白血球が上がるという凄い注射が出ましたので、患者様の負担も減りました。1回でいいんですから凄いです!
それでも、FEC治療から入るとするとだいたい4~6クール行うわけです。
後半になると体の回復も時間がかかるようになります。
やはり、タンパク質は大切です。
抗がん剤治療で必要なタンパク質とは?何をどうやって食べればいい?
②ウィックの購入(コットンの帽子も)
抗がん剤を使用すると大体、2週間ぐらいで髪が抜けてきます。
これだけはどうしても抜けてしまいます。
HARハーセプチンや、AVAアバスチンは抗がん剤ではないので抜けませんが、FEC治療、TC治療、パクリタキセルは脱毛は誰もがおこる副作用です。
抗がん剤の点滴始まると買い物に行く余裕もウィックをどうするかも決める体力も落ちると思うので、始まる前に購入するのが良いです。
・医療用の人毛、数万円~
・ネットショップ、5,000円以下の物あり
・美容院で相談して購入する、数万円~
など、それぞれですが医療用が高いのはそれなりにやはりいいです。
数万円から10万円とそれもさまざまです。
病院によっては割引きで購入出来るとこもあるようです。
医療用と一般のウィックの違いは、抗がん剤の脱毛は産毛のような毛が残る程度で抜けるのでパッチンと、止めることが出来ません。人毛混でネットが付いているか?付いていないか?だと思います。
患者様の情報だと今はネットで安いのでも十分いいのがあると言っていました。
ズレ防止のネットを別売りで購入して、「この際ウィックを楽しみます」という方も。
夏の時期に抗がん剤の人は汗をかくから、安いのをかってダメになったら捨てるという人もいました。
でも、オール人毛で作ったウィックはやはり凄くて10万円近くしたそうですが、久しぶりにその患者様にあった時、「あれ?抜けてない?」と思うほど自然でした。
自営で仕事をしているのでばれたくないということでバッチリいいものを購入したそうです。
抗がん剤が終了すると年齢と個人差はありますが翌月には少しづつ後ろの方から生えてきて半年で全体が生えそろってショートヘアになります。1~2年でボブに戻る感じです。
髪質が変わる人もいれば、以前のように戻る人もいます。
コットンの帽子ですが、夏は家で過ごすのに汗をかいて目に入るので必要。
冬は髪が何もないと寒いので必要とのことです。
抗がん剤で肌も荒れることもあるので、出来るだけ肌に優しいタイプが良いと思います。

③サポート体制
乳がんは20代から80代までの年齢の方がかかる病気で、抗がん剤はその人の体力にもよりますが、20代から70代までの方がしています。
独身で一人暮らしの人もいれば、娘夫婦と孫と6人で暮らしているというひとも。。。
抗がん剤治療は昔より、というより年々副作用は少なくなっています。
それでも、孤独になったり、食べられなくてつらいときは誰かのサポートが必要になります。
抗がん剤をして2~3日までは皆さんダルイと言います。
吐いて食べられない人もいます。吐かない人も2~3日は何もできないと思ってください。
調子いいからと動きすぎると後から体調崩す患者様もいるので。。。
なので、一人暮らしの方には、買いだめしておくか、誰かに来てもらうように話して、サポートしてくれる方がいるのか確認します。
この2~3日はおかゆに玉子だけでもいいので食べて、脱水にならない様に気をつけます。
でも、ちょっとしたことも頼める人がいると心強いので、家族が近くにいない人は
気の許せる友人がいるといいですね。
④気持ちの切り替え
抗がん剤治療をすると決めたら、この抗がん剤の間は髪が抜けることを覚悟する。
あなただけでなくブログなど読むとみんな乗り越えてきています。
抗がん剤の後、外来に元気に通院している患者さんがほとんどです。
抗がん剤をするか?しないか?悩んでいる方は、「悩んでいるぐらいならした方がいいよ」と先輩の患者様が言っていました。
するかしないかなやんで免疫療法?温熱療法?って悩むならとことん悩んで良いと思います。
でも、乳がんって本当に色んなタイプの種類があります。
トリプルネガティブの場合は抗がん剤は必須です。
免疫療法なのでよくなったというブログも私も読みますがきっとタチのいいタイプだったと思うんです。
でも、あなたが決めるしかない。
後悔のない選択ならどれを選んでもいいと、私は思います.

その他、治療前に済ましておくこと
♦歯の治療
虫歯やグラグラする歯があると、抗がん剤の副作用、白血球減少で感染したりします。
乳がんの治療に専念するためにも治しておきましょう。
♦高額医療についての手続き
乳がんの手術を先に受けた方は【高額医療の受給者証】を持っていると思いますが、始めに抗がん剤治療をする方はこの手続きが必要になります。
すれぞれの病院でよく聞いて必要な手続きをしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました(*´▽`*)
参考になれば幸いです。。。
↓抗がん剤をすると決めたら↓合わせて読んでください。
抗がん剤治療で必要なタンパク質とは?何をどうやって食べればいい?