
抗がん剤のパクリタキセル(タキソール)で手足を冷やすのは有効か?について参考になればと思いまとめました。
私は10年前から抗がん剤の患者さんに関わっています。抗がん剤中から終わってからも外来にくる患者さんを何年も経過をみています。
パクリタキセルの主な副作用に末梢神経障害があります。もちろん骨髄抑制や脱毛ありますが、看護師の私から見ても一番の副作用は「しびれ」です。
パクリタキセルの副作用対策
私の今勤めている病院では2011年ころより、副作用予防の為に専用の冷却グローブやソックスをして手足を冷やしています。
この他、予防の為に着圧ソックスを履いて予防する病院もあります。
この間参加した乳がん専門看護師、がん専門看護師の方の話では、ピタッとした滅菌手袋を二重にして予防したらどうか?という話もありました。
この滅菌手袋は医師や看護師の方は分かると思うのですが、普通の医療の現場で使用する手袋に比べてキツく密着感があります。この滅菌手袋を2枚着ける方法です。しかし、これは滅菌手袋ですのでコストがかかります。
滅菌していない手袋が専用にあるといいね、と話がありました。
多分一番、予防で使われている冷却グローブですが、難点は「冷たい!」ということ。
冷たくすることで抗がん剤投与中に手先、足先の血流を悪くして抗がん剤を行き渡さない方法なので仕方ないのですが。。。患者さんは辛いです。
夏はまだいいと患者さんは言いますが、冬場はキツそうです。
約1時間30分冷やしています。
冷却グローブの効果はある?
昔は、もちろん薬などが良くなり副作用が少なくなってきていますが、このシビレは厄介で一度出ると何年も消えないのです。。。
2011年頃手袋をしていなかった時、患者さんは、髪も抜けるのも悲しい、ショックです、。
さらに抗がん剤が終了しても、1年経っても2年経っても痺れが取れない。。。というのが辛そうででした。
「砂利をいつも踏んでいるみたい」
「足の裏の感覚が鈍い」
「だんだん良くはなっているけど、、、慣れたのかな」
など、症状がひどい人が多かったんです。
リリカ(神経のしびれの薬)などの神経の痺れを和らげる薬もありますがこれは、人によって「合う、合わない」がとてもハッキリしています。
合わない方は眠かったり、逆に体調が悪くなってしまいます。
やはり予防を出来るだけしっかりするしかないと感じます。
7年前から使用しているのは冷却のグローブとソックスはコレです↓

普段、冷凍庫で冷やして保管してあり使用時出して使います。
使用方法は、この写真ようにディスポの帽子を手や足に4か所被せて冷却手袋と冷却ソックスを使っています。

今、冷却グローブや冷却ソックスを抗がん剤をしている患者さんでパクリタキセルを使用している方は、痺れがひどい方は2、3割です。
後の方はほとんど何も痺れないか、痺れても指先に少しのみです。
これは以前の全く副作用対策をしていない時に比べてとても少ないです。
この他、工夫次第で冷やすことは出来ますね。
アイスノンとタオルと保冷バックを改良して。。。

パクリタキセル時の冷却グローブ&ソックス使用方法
パクリタキセル始まる15分前から冷やします。
パクリタキセル中の(1時間)冷やします。
終わってから15分もそのまま冷やします。
夏などはパクリタキセル1時間の間、緩くなるので交換する人もいます。
手足が冷えるとトイレが近くなるので、私の病院ではお腹に温かい湯たんぽみたいなもの(独自で作った)をレンジでチンしてお腹に乗せて使っています。
患者さんはお腹や肩やわきの下に温かくしてあげると体が少し楽になるようです。
内服で予防
パクリタキセルを行う患者さんには予防薬として
牛車腎気丸という、しびれに効く漢方と
ビタメジンなどのビタミン剤を1日3回飲んでもらっています。
漢方は飲みずらいので患者さん自身で飲まない方もいますがエビデンスははっきりしませんが私の勤めている医師は処方します。
これははっきりわかりませんが、どうしても50~60代以上の患者さんの方がしびれが出やすいように感じます。
20代~40代前半の方はあまり、しびれは出現しないように感じます。
これは個人差がありました。
まとめ
抗がん剤のパクリタキセルは何も対策をしない時より、冷却グローブや冷却ソックスを使用した方が明らかに、しびれの出現は減らせています。
内服ははっきりしませんが。。。
しびれの症状が出ても以前のような(私の知っている)「砂利を踏んでいるよう」という酷い症状は出ていません。
ほとんどの病院でこの対策はしていると思いますが、冷やすのは有効と感じます。
患者さんも1時間ちょっと頑張って冷やして、何年も長引くしびれにならないようにしましょうね。
※ただ、いくら頑張って冷やしてもしびれることはあります。
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